ヘムレン考
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2003年10月16日

 ムーミン谷の彗星(英・パッフ
ィンブックス)の表紙






















新山さんのホームページ
http://www.unixuser.org/~euske














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のモノを使わせていただき
ました。


 私のハンドル、ヘムレンについて少し書いておきます。プロフィールのところに、「ヘムレン」は、トーベ・ヤンソンの児童文学ムーミントロールの脇役に由来する」、とだけ書いておきましたが、これは話せば結構長い話になります。
 私が高校生だったころ、というから今から遡ること30年くらいになりますかな。当時、なぜか私は新宿の紀伊国屋書店の洋書売り場で、イギリスのペリカンという出版社の子供向けシリーズにムーミンの本が出ていることに気づきました。特段ムーミンが好きだった訳でもないのですが、表紙のカラーの絵や挿絵が豊富で読みやすそうだったので、大胆にも一冊買って帰りました。これが私とムーミンの運命的な出会い、となったわけです。
 最初は「ムーミン谷の彗星」だったと思います。小学生くらいを対象にしていますから、英語も平易で、なんとかあまり辞書を引かずに読めたのが幸いしました。一冊読み終わるとまた次、また次、と結局シリーズを読破してしまいました。
 ムーミンというと岸田今日子がアフレコをやったテレビの漫画のイメージがありますよね。あれがイカンとは言いませんが、テレビではあまりにも優しいムーミン一家みたいな味付けがきつくて、どうもしっくり来ません。
 というのも原作では、登場人物はかならずしも優しいばかりでなく、時に残酷だったり、時に我儘だったり、自己矛盾したりするのです。このシリーズを書いたのは、フィンランドの女流作家のトーベ・ヤンソンという人ですが、この人の作品は単に子供向けの童話として片付けられないくらい、奥行きがあります。ムーミントロールは純真な子どもとして描かれていますが、ムーミントロールの世界はそんな純な動機ばかりで動いてはいません。世の不合理や不条理、矛盾、他人の意地悪や無関心、そうした困難を掻き分けながら、しかしムーミントロールが一心に生きていくところにこの作品の面白さがあると思います。
 さて、ヘムレンです。ヘムレンはムーミントロールの世界の脇役。ヘムレンは実はヘムル族のヘムレンさんで、ヘムレンが固有名詞なのか、それともヘムル族の人(?)に対する一般名詞なのかが時々不明瞭になります。ヘムレンはムーミンのシリーズに何度か登場しますが、大体において偏屈者、自分の嗜好に対して極度の執着をもつオタク的な人物として描かれています。
その中でも、私が大いに気に入っているのは「静かなのが好きなヘムレンさん」 (「ムーミン谷の仲間たち」収録)という短編です。これは年金生活を夢見ながら、川辺の遊園地のモギリの仕事をやっているヘムレンさんの話です。実はヘムレンさんはうるさいのが大嫌い。遊園地ですから子ども達がやってくるのは仕方がないのですが、その子ども達がガチャガチャ音を立てワイワイ騒ぐのがなんとも気に入らない。ところが、ある日、川が氾濫して遊園地が流されてしまうのです。観覧車もメリーゴーランドも、みんな流される。
 ヘムレンさんは呆然自失、しかし暫らくすると、下流に流された遊園地の残骸を拾い始めるのです。すると遊園地が大好きだった子ども達も同じことを始める。しまいに継ぎ接ぎだらけの遊園地が完成するのですが、遊園地再建の恩人であるヘムレンさんが「静かなのが好き」なので、子ども達は音をたてずに静かにそこで遊ぶ。沈黙の遊園地という驚愕のラストシーンで終わるのです。
ヘムレンさんについて、面白い論考があります。「変人と孤独」と題する新山祐介さんという方のものです。
それでもこの物語〔静かなのが好きなヘムレンさん〕にやるせなさを感じるのは、結局のところ彼ヘムレンさんは最後まで孤独だからだ…。誰からも理解されず、ひとりで自分の幸せをみつけるヘムレンさん。…孤独が不安でしょうがない人…にとっては、この物語は救いようのないものに感じられると思う。でも、人はだれでも「ひとりであること」を受け入れなければいけない、そして本当はそれはすばらしいものなのだ -- ムーミンにかぎらず、ヤンソン作品にはこうした主題がくり返し現れる。ぼくはこれを、ヤンソンのエールだととらえている。
童話と馬鹿にすることなかれ。ムーミンの原作には人生の不安や生き方に対する洞察があちこちにあります。
 さてヘムレンを名乗る私が変人かどうかはさておき、私がヘムレンさんの素敵なアイコンをお借りしている「ひか」さんの分析によると、ヘムレンさん(あるいはヘムル)の特性として
ひとつの物事に熱中しやすいらしく、〔ムーミンのシリーズに〕登場した「へムレンさん」の多くが何らかの趣味、あるいは職業を持っていた。平たく言えばオタク気質。また、多少無神経というか、繊細さに欠ける面があるらしい。強引な性質を持った者も多い。
というものがあります。オタク、無神経、繊細さに欠ける、強引など、耳が痛い。





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